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無題

ようやく整理がおわったデータを保存すると、パソコンから目をはなし、軽く伸びをする。
外からはバイクのエンジン音。朝刊配達だろう。
もうそんな時間か、と、いい加減目の前の端末をシャットダウンしようと手をかけると、画面端に受信メッセージの文字。

思いとどまり開けば、タイトルにRE:の文字。送信者は見知った名前だ。
「あいつ、まだ起きてたのか……」
つい先程自分が送った報告事項の返信だった。

普段の素行からは想像がつかない様な、丁寧で事務的な文体。
詳しい内容は次起きた時に確認しよう。今日はもう店じまいだ。
今度こそ端末の電源を落とす。冷え切ったコーヒーを飲みほし、流しへ置きながら携帯を開く。

『さっさと寝ろ。俺はもう寝る、おやすみ』

件名は空欄のまま。
送信ボタンを押し、ベッドに転がった。