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イントロダクション

加賀優希は”観察者”<オブザーバ>だ。
観察対象は、霊や意識体といった存在が起こす、非日常。
肉体に縛られない存在や、強い感情など、目に見えるはずのないものに興味を示し、噂を聞きつけてはしばしば首を突っ込み、"観察"を行う。彼には、常人に感知できないものを見ることができる力があった。

だが生業というわけでははない。

新星帝都大学病院。
N◎VAにおいて最高の医療スタッフ、施設を有するといわれる病院。そこが彼の職場だ。
日中は、優しい小児科の先生として患者に向き合う。それが彼の日常。

未だ、大人の世界では胡散臭い、あるわけが無いものとして扱われている神秘世界も、従順で、疑うことを知らない小さな患者の中には"見える子"もいるようで、まれに噂話を聞くことがある。
そんな日は決まって、誰も居ない霊安室に赴き、ポケットロンから短縮ダイヤルを呼び出す。

「あ、もしもし。今暇ー? あのさ、今夜なんだけ」
「ちょっとちょっと、いきなり切るなんて酷いなぁ。なに、仕事中なの?」
「じゃあ聞いてくれてもいいだろう? 実は、霊園近くの森林公」
「あっれーおかしいな。電波悪い? ……え、そんな事言わずにさ、頼むよ。うん、うん」

彼はあくまで観察者。不思議な現象の正体を見てみたいだけであって、戦闘は専門外だ。当然助っ人は必要になる。

「わかった、無事終わった暁には今までの分、倍にして返すからさ」

それじゃあいつもの場所で。
端末を白衣のポケットにしまい、うきうきとした調子でナースステーションに戻りながら、ふと足を止めた。

「倍、ってことは……リンゴジュースジョッキ2杯でいいかな」
うん、僕にしては太っ腹だ。
そんなことを呟きながら。

……こうして、彼は今夜も観察に出かける。


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セッション前に加賀先生のイメージを固よう!と書いたものです。
電話相手は未想定ですが庭瀬さんあたりなのかな……(’v’